
新版 「幸せをお金で買う」5つの授業
書籍『新版 「幸せをお金で買う」5つの授業』で学べる一番大事なことは、一言でいうと以下の1文です。
まとめガイドは次のページで紹介しています。
新版 「幸せをお金で買う」5つの授業 目次
- Prologue 「幸せをお金で買う」5つの原則
- Lecture1 経験を買う Buy Experiences
- Lecture2 ご褒美にする Make It a Treat
- Lecture3 時間を買う Buy Time
- Lecture4 先に支払って、あとで消費する Pay Now, Consume Later
- Lecture5 他人に投資する Invest in Others
- Epilogue 視野を広げよう
- New Lecture 「それでも“幸せはお金で買える”のか?」――著者に聞いた最新研究と新しい世界を生きる読者へのアドバイス
はじめに
「お金があれば幸せになれる」——多くの人がそう信じています。
しかし、心理学と行動経済学の研究は、ある意外な事実を突きつけます。
年収が一定水準を超えると、それ以上収入が増えても幸福度はほとんど変わらないのです。
本書は、ハーバード大学ビジネススクールの行動経済学教授マイケル・ノートン博士と、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学の心理学教授エリザベス・ダン博士が、世界中の研究データをもとに「お金を幸福に変える5つの原則(ハッピーマネーの原則)」を解き明かした一冊です。
NHK「幸福学白熱教室」やTEDで大きな話題を呼び、日本でも多くの読者に支持されてきたベストセラーが、スマホ・SNS普及後の最新研究を加えた新版として2026年4月にリニューアルされました。
本書全体を通して著者たちが最も伝えたいパワーワードは、「お金の量ではなく、使い方を変えることで、幸福は買える」ということです。
以下、本書の中でも特に重要な3つのポイントについて詳しく解説します。

重要な3つのポイント
モノよりも経験を買う
モノよりも経験を買う

「新しいスマホを買った」「ブランドバッグを手に入れた」
モノを購入したときの興奮は、なぜかすぐに薄れてしまいます。
多くの人は、モノを買い続けることで幸せを得ようとしますが、その方法では幸福は長続きしません。
人間の脳には「慣れ」という性質があります。
高級車を買っても、ブランド品を手に入れても、最初の感動は時間とともに確実に薄れていきます。
ドイツで行われた大規模追跡調査では、住み替えた人々の「家への満足度」は維持されたものの、生活全体の幸福感はまったく向上しなかったことが明らかになっています。
モノへの支出は、いくら積み重ねても幸福の総量を増やしにくいのです。
著者たちが強く推奨するのが、「モノではなく経験にお金を使う」という発想の転換です。
旅行、コンサート、スポーツ観戦、友人との食事——こうした経験への支出は、時間が経つほどに記憶の中で輝きを増し、幸福感が長続きします。
コロラド大学とコーネル大学の心理学者の調査では、アメリカ人の約57%が「経験を買う方が幸せになれる」と回答しています。
経験は「慣れ」の影響を受けにくく、むしろ記憶として美化されていきます。
また経験は他人と比較しにくいため、「隣の芝は青い」という有害な感情からも身を守ってくれます。
さらに経験は多くの場合、他者との絆を深める機会にもなります。
特に幸福度を高める経験には、以下の4つの条件があります。
- 社会的なつながりが生まれる
- 家族や友人と共有できる体験(例:旅行、ライブ、スポーツ大会参加)
- 語り継げる思い出になる
- 何年後にも話せるエピソードになる体験(例:初めての登山、海外一人旅)
- 理想の自分像に結びつく
- なりたい自分に近づける体験(例:語学留学、尊敬する人の講演会)
- 他と比較できない唯一性がある
- 滅多にないチャンスの体験(例:特別なワインディナー、一生に一度の旅先)
経験は「所有」ではなく「記憶」として蓄積されるため、時間が経っても色あせにくく、むしろ思い出として語るたびに満足度が上乗せされていきます。
モノのように隣の人と比べて優劣を判断されにくいことも、経験がもたらす満足度が長持ちする理由の一つです。
今週末、服を一枚買う予定があるなら、そのお金で友人を誘って行ったことのないレストランに行く計画を立てる。
物質的な買い物は数週間で飽きますが、その夜の会話と笑い声の記憶は、人生を長く温めてくれる「配当」になります。
他人に投資する
他人に投資する

ボーナスが入ると、多くの人は「自分へのご褒美」として服やガジェットを買います。
しかし自分一人のためにどれだけお金を使っても、その幸福度は時間とともにすぐに薄れてしまいます。
自分のためだけにお金を使い続けても、幸福度は頭打ちになります。
ノートン博士らが行った実験では、街ゆく人に約5ドル(当時約500円)を渡し、「自分のために使うグループ」と「他人のために使うグループ」に分けて幸福度を比較しました。
結果は明確で、他人のためにお金を使ったグループの方が、その日の幸福度が明らかに高かったのです。
金額に関係なく、この傾向は一貫して現れました。
本書が推奨するのは、「プロソーシャル・スペンディング(他者への投資)」です。
友人へのプレゼント、同僚へのコーヒーのおごり、慈善団体への寄付——金額の大小ではなく、「誰かのために使う」という行為そのものが幸福をもたらします。
Googleでは、従業員同士が150ドルのボーナスを送り合える「ピアボーナス制度」を導入しました。
その結果、上司から直接受け取るボーナスよりも、同僚から受け取ったボーナスの方が社員満足度を高めることがわかりました。
人のためにお金を使うことは、周囲とのつながりを深め、社会的動物である人間の本質的な幸福に直結するのです。
さらに、ベルギーの医薬品営業チームを対象にした実験では、チームのためにお金を使ったグループは、自分のためにお金を使ったグループよりも営業成績が向上したという結果も出ています。
「他人に投資する」実践アクション
- 職場の同僚にコーヒーを1杯おごってみる
- 友人や家族への「サプライズプレゼント」を月1回実践する
- 自分が応援したい団体・活動に少額から寄付を始める
- 「誰かのために使う予算」を毎月の支出に意識的に組み込む
ご褒美にする
ご褒美にする

「好きなものはいつでも食べられる」「欲しいものはすぐに買える」
そんな豊かな状況になっても、なぜか以前ほど喜びを感じなくなった経験はないでしょうか。
フランスのマクドナルドでは、アメリカよりポテトのサイズが30%小さいにもかかわらず、客の滞在時間はアメリカより50%長いというデータがあります。
少量であるからこそ、ゆっくりと味わって楽しんでいるのです。
人間の幸福センサーは温度計のようなもので、ずっと熱いお湯に浸かっていると、その熱さを感じにくくなってしまいます。
豊かさと慣れが、喜びを奪っていくのです。
本書が提案するのは、あえて「希少性」をつくり出すという逆転の発想です。
毎日飲んでいたコーヒーを週2回だけにする、毎週観ていたお気に入りの番組の視聴を週1回に絞る
制限をかけることで、その喜びが「ご褒美」に変わります。
ある実験では、学生たちに万華鏡を与え、翌日と1週間後のどちらがより楽しいかを予測させました。
結果は予測を裏切り、1週間後の方が楽しさが減少していたのです。
「慣れ」は確実に喜びを蝕みます。
一方で意図的に間隔を空けると、再び「初めての感動」に近い喜びを取り戻せます。
「ご褒美にする」実践アクション
- 好きなカフェのコーヒーを「週2回だけ」に限定する
- お気に入りのスイーツを「月に一度の特別な日」だけにする
- 好きなドラマは一気観せず「週1話ずつ」味わう
- 旅行先で「あえて定番スポットを後回し」にして期待感を高める
重要ポイント+1
時間を買う
本書で特筆すべき重要なポイントとして、「時間を買う」という考え方があります。
著者たちは、「お金で時間を買う」——すなわち、嫌いな家事を外注したり、職場に近い場所に引っ越したり、タイムパフォーマンスの悪い作業をサービスに委託することが、幸福度を大きく高めると指摘しています。
通勤に片道1時間以上かかると幸福度にネガティブな影響が出るという研究データも紹介されており、時間の使い方を変えることの重要性が強調されています。
自分の時間を「時給」で換算しすぎると、音楽を聴くといった金銭を生まない活動にすら焦燥感を感じるようになります。
本書はこれを「時間貧困」と呼び、たとえ裕福であっても心から幸せを感じられなくなる原因になると説明しています。
また、「先に支払って、あとで消費する」という原則も見逃せません。
旅行を例に挙げると、先に宿泊代や交通費を支払っておくと、旅行当日は「タダで楽しめている」という感覚が生まれ、純粋に体験を楽しめます。
逆に後払いにすると、楽しい経験の直後にお金を払う痛みが生じ、幸福感が相殺されてしまうのです。
研究では、「旅行を計画してワクワクしている期間」が、旅行そのものよりも幸福度が高い場合があることも示されています。
楽しみを少し先送りにし、期待感を味わう時間こそが、お金で買える最大の幸福のひとつなのです。
不快な気分で過ごす時間(Uインデックス)を減らすためにお金を使うという発想が有効です。
- ルンバや食洗機の導入、家事代行サービスの利用など「家事の外注」
- 何かを買う前に「これを買ったら、自分の時間はどう変わるか?」と自問すること
時間をお金で買うという発想は、お金より自分の時間そのものに重点を置く生き方への転換を促します。
本書で紹介される企業(インテルやパタゴニア、ザ・ホーム・デポなど)は、最も多忙な社員でも「時間にゆとりがある」と感じられるよう工夫しており、この時間の余裕こそが仕事と私生活の満足度を予測する強力な要素であると述べられています。
新版では、スマホやSNSの普及、コロナ禍、AIの台頭といった変化を踏まえた著者インタビューの新章も追加されており、現代のライフスタイルに即した実践的なアドバイスが盛り込まれています。
自分が「最も嫌いな家事」を一つ選び、それを解決する道具を買うか、外注を検討する。たとえ数千円の出費であっても、そこで生まれた「自由な30分」で大切な人とコーヒーを飲むことが、何よりも賢いお金の使い方だと本書は締めくくっています。
まとめ
本書は、「お金の量ではなく使い方を変えることで幸福は買える」という主張を、世界中の研究エビデンスをもとに解き明かした一冊です。
特に重要なのは、「モノより経験にお金を使うこと」、「豊かさに慣れないようご褒美として扱うこと」、そして「他人のためにお金を使うこと」という3つの原則です。
これらを日常に取り入れることで、同じ金額を使っても得られる幸福の総量は大きく変わります。
読者からは「お金の使い方を根本から見直すきっかけになった」「他人のためにお金を使ってみたら、本当に気分が良くなった」「毎日飲んでいたコーヒーを減らしたら、かえって美味しく感じられるようになった」といった声が多く寄せられています。
実験データに基づいた内容でありながら、すぐに日常で試せる具体的なアドバイスが多く、実践的な一冊として高く評価されています。
著者たちは「幸福はお金では買えない、という通説は間違っている」と言い切ります。
ただし正確には、「今までのお金の使い方では買えない」ということ。
使い方を変えれば、お金は確実に幸福に変換できる——その確信が、本書全体を通じて伝わってきます。
【内容情報】
「ある程度以上のお金を持っていても、幸福にならない」——多くの研究がそう結論付けている。しかし、「使いかた」を変えたら?NHK"幸福学"白熱教室やTEDで話題となったハーバード大ビジネススクールの行動経済学教授のマイケル・ノートン博士とカナダ・ブリティッシュコロンビア大学の心理学教授のエリザベス・ダン博士が解き明かす科学的に正しい「幸せ」と「お金」の授業。ベストセラーが新版としてリニューアル!刊行から10年以上が経ち、その間にスマホやSNSの普及、コロナ禍や戦争、AIの台頭など私たちが生きる世界や環境は大きく変わっている。新版刊行にあたって、最新の研究成果や読者から寄せられた反響や疑問について、著者の2人にインタビューを行い新章として追加。心理学×行動経済学で解き明かす「幸せを生む」お金の使い方がわかる1冊。
【著者情報】
エリザベス・ダン(Elizabeth Dunn)
カナダのバンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学の心理学教授。自己認識と幸福についての研究を専門とし、「ニューヨーク・タイムズ」「ロンドン・タイムズ」など多数のメディアで取り上げられている。NHK「幸福学白熱教室」に出演するなど、幸福をテーマにした研究で国際的に注目されている。
マイケル・ノートン(Michael Norton)
ハーバード・ビジネススクールの行動経済学教授。TEDに登壇し、「幸せを買う方法」について講演。視聴数は150万回を突破した。
新版「幸せをお金で買う」5つの授業 内容紹介より
参考
まとめガイドは次のページで紹介します。







