【究極の要約】「イシューからはじめよ」から分かる一番大事なこと
スポンサーリンク

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

書籍「イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」」で学べる一番大事なことは、一言でいうと以下の1文です。

いま本当に答えを出すべきでかつ答えを出す手段がある問題に集中して問題解決に取り組む

まとめガイドは以下のとおりです。

イシューからはじめよ

知的生産の「シンプルな本質」完全ガイド
🎯 問題を解く力より、問題を見極める力が100倍大事

❌ 悪いイシュー

スタンスが曖昧
仮説がない状態
常識的すぎる
行動変化が生まれない
悪い例
「ハイパードライの今後はどうだろうか?」

✅ 良いイシュー

スタンスが明確
白黒はっきりしている
常識を否定
行動変化が生まれる
良い例
「ハイパードライを高齢者向けにリニューアルすべきか?」

🔍 発見方法

1
一次情報の収集
誰のフィルターも通らない生の情報
2
現場に足を運ぶ
工場、売り場、利用者の声
3
適量の情報
集めすぎは逆効果

💡 実践のコツ

イシューを明文化
紙に書いて見えるところに
👥
上司・同僚と議論
イシューを共有する
🔄
日々意識する
週1回は必ず見直し

🚀 実践フロー

STEP 1
一次情報収集
現場の声を聞く
STEP 2
イシュー設定
明確な仮説を立てる
STEP 3
議論・共有
チームで検証
STEP 4
実行・検証
日々意識し続ける

⚡ 重要ポイント

「犬の道」= やみくもに走り回る状態(絶対NG)
「悩む」ではなく「考える」(答えが出る前提で取り組む)
分析の本質は「比較」(比べることで違いを見る)
イシュー度 × 解の質 = 仕事の価値

📚 書籍情報

著者: 安宅和人(マッキンゼー → イェール大学 → ヤフー → 慶應大学教授)

出版: 2024年9月改訂版 | 英治出版 | 累計58万部突破

価格: 2,200円(税込)

💎 最重要メッセージ
「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えをだすことではなく、
間違った問いに答えることだ」(ドラッカー)

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」

第1章 イシュードリブン──「解く」前に「見極める」
第2章 仮説ドリブン①──イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
第3章 仮説ドリブン②──ストーリーを絵コンテにする
第4章 アウトプットドリブン──実際の分析を進める
第5章 メッセージドリブン──「伝えるもの」をまとめる

はじめに

現代社会では情報が溢れかえり、仕事はますます複雑さを増しています。多くのビジネスパーソンが、朝から晩まで忙しく働いているのに成果が出ないという漠然とした焦りや徒労感を抱えることがあります。このような状況を打破し、仕事の質を劇的に向上させるための羅針盤となるのが、安宅和人氏著の『イシューからはじめよ』です。

本書は、単なるテクニックや効率化術を説くのではなく、「知的生産とは何か」という根本的な問いに向き合い、本当に取り組むべき本質的な課題(イシュー)を見極めることの重要性を教えてくれます。
著者の安宅和人氏は、東京大学大学院で修士号を取得後、マッキンゼーに入社し、その後イェール大学で脳神経科学を研究、再びマッキンゼーに戻るなど多様な経験を持ち、「生産性の塊」と評される人物です。

安宅氏は、「圧倒的に生産性の高い人」、いわゆる「できる人」になるための鍵は「イシュー」にあると断言しています。
本書のタイトルであり結論でもある「イシューから始めよ」という一言に尽きるのです。
これは、「与えられた問題を解く力よりも、そもそも何を問題とするか、どのテストに取り組むかを見極めるその力の方が100倍大事なんだ」という意味です。

巷のビジネス書は「答えのクオリティを高める」ことに焦点を当てがちですが、安宅氏はこれを否定し、「そもそも良いイシューの設定を間違えていたら、どれだけ答えの質・答えの数を極めても全く意味がない」と強調しています。やみくもに走り回り、体力だけを失う状態を「犬の道」と呼び、生産性を高める上では「絶対進んではいけない道」としています。

本記事では、『イシューからはじめよ』で解説されている、イシューとは何か、良いイシューの条件、そして良いイシューを見つけ出す具体的なコツについて、特に重要なポイントに焦点を当てて詳しく解説していきます。

イシューとは何か、その重要性

多くのビジネスパーソンが「忙しく働いているのに成果が出ない」という悩みを抱えています。
一生懸命取り組んでいるにも関わらず、なぜ期待する結果が得られないのでしょうか。

イシューとは何か?重要性は?

イシューとは

イシューとは、ざっくり言えば「テーマとなる問い・課題」を指します。
仕事のアウトプットや成果は、この「イシュー(テーマとなる問い・クエスチョン)」と「それに対する答え」の掛け合わせで決まるとされています。

生産性の高い仕事とは、「イシュー度(どれだけ良い課題を設定するか)」と「解の質(どこまで明確な答えを出せているか)」の両方が高い仕事のことです。
多くの人は「解の質」が仕事のバリューを決めると考えがちですが、安宅氏は「イシュー度」、つまり「課題の質」の方がより重要だと説きます。

世の中にある『問題かもしれない』と言われていることのほとんどは、実はビジネス・研究上で本当に取り組む必要のある問題ではない。」と著者が述べていますが、そもそも取り組む必要性の低い問題にどれだけ素晴らしい解答を導き出しても、価値を提供することはできません。

例えば、あなたがとあるお酒メーカーの商品企画部に所属し、上司から「ハイパードライの売上が全然ダメだから、なんとかしといて」という指示を受けたとします。
この時、もしあなたが「ハイパードライのブランドイメージをどのようにリニューアルすべきか」というイシューを設定し、若者受けするタレントを起用したCMを作る、といった答えを出したとします。
しかし、これは落とし穴となる可能性があります。

本当に着目すべきは、「そのブランドのビール『ハイパードライ』の売上が激減している要因はどこにあるのか」という点です。
もし日本国内のビール市場全体が縮小傾向にあるのであれば、若者向けのテコ入れをしたところで売上回復は望めないかもしれません。

上司の指示が「斬新な感じに」という漠然としたものであっても、我々がやるべきは、売上低迷の本当の原因を突き止め、その上で必要であれば上司の意図とは別のイシューを提示することです。例えば、「ハイパードライを若者受けの方に寄せるのではなく、今後市場規模が拡大していく可能性のある高齢者に受けるイメージにしていくにはどうすればいいか」といったイシューを提示することが考えられます。

誤ったイシューに対して全力で取り組んで100点の答えを出しても、一見頑張っているように見えますが、全く意味がありません。それよりも、的確なイシューを設定することに注力し、たとえそれに対する答えが50点程度であったとしても、その方がよっぽど仕事として前に進み、会社に貢献することになるのです。

悪いイシューと良いイシューの条件

せっかくイシューを設定しても、それが「なんちゃってイシュー」や「イシューもどき」では、仕事に圧倒的な生産性は生まれません。
では、どのようなイシューがダメで、どのようなイシューが良いのでしょうか。

悪いイシューと良いイシューの条件

悪いイシューとは良いイシューの条件

本書では、悪いイシューの特徴として

  • すでに答えが出ている問題:時間を浪費するだけで、新たな価値を生み出さない。
  • 本質的でない問題:表面的な問題に過ぎず、根本的な解決にはつながらない。
  • 解くのが難しいだけで意味がない問題:どんなに頑張っても、成果に結びつかない。
  • 誰にとっても重要でない問題:解決しても、誰の役にも立たない。
  • 解決しても何も変わらない問題:状況が何も改善されない。

大きく分けると以下の2つが言えると思います。

1. スタンスが曖昧

「良いか悪いか」「やるべきかやめるべきか」といった「白か黒か判断していない」状態、つまり「仮説がない」ことを意味します
例えば、「ハイパードライの今後はどうだろうか?」「ハイパードライを今後どうすればいいのか?」といった問いはスタンスが曖昧なダメなイシューです。

2. 常識的すぎる

常識的なイシューに答えを出しても、行動の変化が生まれないことを指します
例えば、「このブランドのビール(ハイパードライ)のブランド力を上げていくべきか?」という問いは、答えが「Yes」に決まっており、当たり前すぎる結論しか出ません。

このようなダメなイシューを設定してしまうと、「せっかく意識的にイシューを設定し、しゃかりきに調査分析し、仮に答えを出せたとしても、結果的に仕事が何も前進しない、何も変化しないという悲惨な結末が待っている」と述べられています。

これに対し良いイシューとは、悪い条件の逆を満たした上で、以下の3つです。

  • 本質的な選択肢である
  • 深い仮説がある
  • 答えを出せる

例として挙げられたビールの事例では、「ハイパードライのイメージを若者受けの方に寄せるのではなく、今後市場規模が拡大していく可能性のある高齢者に受けるイメージにしていくにはどうすればいいか」というイシューが提示されています。

これは「高齢者ターゲットに切り替えていこう」というスタンスが明確であり、ビール=若い人という常識を覆し、「高齢者をメインターゲットにブランドイメージをリニューアル」するというのは、行動に変化が生まれる「筋の良いイシュー」であると言えます。

要は「結果的に誰かしらの行動に変化が生まれるイシューこそが筋の良いイシュー」ということです。

良いイシューの設定を間違えてしまうと、どれだけ答えの質・答えの数を極めても全く意味がなく、やみくもに走り回り、体力だけを失う状態の「犬の道」となってしまいます。

良いイシューの見つけ方と実践

良いイシューの条件は理解できても、実際にどのようにして良いイシューを見つけ出せばよいのでしょうか。その具体的な方法とは何でしょうか。

良いイシューの見つけ方と実践

良いイシューの見つけと実践

良いイシューを見つけ出すコツは、「情報収集をしましょう」という非常にシンプルなものです。
ただし、単なる情報収集ではありません。

重要なのは、「一次情報」を仕入れることです。
一次情報とは、「誰のフィルターも通ってない生の情報」を意味します。
例えば、ものづくりであれば工場の現場の人の生の声、販売であれば売り場の人や顧客の生の声、Webサービスであれば利用者の話などです。

なぜ一次情報が重要かというと、イシューを設定するということは、自分なりの「仮説」を設定することでもあるからです。
二次情報や三次情報(ネットニュースなど)は、誰かの思惑や常識、仮説に基づいて編集されているため、その情報に影響されてしまい、「自分なりの仮説にたどり着けない」、つまり「色眼鏡(偏見)が取れなく」なってしまうからです。

そのような情報をもとに自分の仕事のパフォーマンスを大きく左右するイシューを設定してしまうのは、かなり危険な行為だと安宅氏は警鐘を鳴らしています。
良いイシューを設定するためには、まず準備として一次情報を仕入れ、現場に実際に足を運ぶことを強く意識しましょう

ただし、情報収集については注意点があり、「情報集めすぎはダメ」と安宅氏は述べています。
人間は不思議と一定量までは情報収集すればするほど知恵が出てきますが、情報が多すぎると逆に知恵が出なくなるため、バランスが重要です。

イシューは「仕事を進める上でのテーマとなる問い・課題」であり、「我々の仕事の方向性を示す軸、地図のようなもの」です。イシューを設定した後の調査、分析、プレゼンといった作業はすべて、「イシューに答えるため」にやる作業であり、「イシューがすべての軸」となります。

そのため、イシューは紙に書いて目に見えるところに置くなど、「日々意識しておくことが大事」です。著者は、それぞれの業務のイシューを1枚のワードなどにまとめて、週に1回は強制的に目を通すことを実践していると述べています。

実践への提言として、まずは自分の各業務のイシューを設定してみること。そのイシューを上司や同僚と議論し、共有すること。
一度イシューが決まったら、そのイシューを頭の片隅に常に置きながら、あとは作業に没頭すること。このプロセスを「愚直に繰り返すだけ」と述べられています。

知的生産性を高めるための重要な考え

本書では、イシュー設定の他にも知的生産性を高めるための重要な概念が紹介されています。

「悩む」と「考える」の違い

筆者いわく、「悩む」は答えが出ないことに脳を使うことで、「考える」は答えが出る前提で取り組む行為、とのことです。
仕事の際は「悩む」というのは時間の浪費なので、「考える」をすべきだと強調されています。

分析の本質

著者は、分析とは「比較、すなわち比べること」であると述べています。
フェアに対象同士を比べ、その違いを見ることが分析の本質であり、適切な「比較の軸」が分析の鍵となります。
また、分析は「比較する」「構成を分解する」「変化を見る」の3つが主にあるそうです。

まとめ

改訂版あとがきから読み取れる著者の思いとして、現代の日本社会が「空気ドリブン」になっていることへの危機感があります。
著者は、一人ひとりがイシュードリブンな思考を身につけることで、より良い社会を作っていけると信じており、そのための実践的な手法を提供したいという強い想いを持っているかと思います。

本書の結論は、タイトルが示す通り「イシューから始めよ」という一言に尽きます。
これは、「与えられた問題を解く力よりも、そもそも何を問題とするか、どのテストに取り組むかを見極める、そのイシューを設定する力の方が100倍大事なんだ」という意味です。

ただし、どんなイシューでも良いわけではありません。スタンスが曖昧であったり、常識的すぎたりするものは「ダメなイシュー」であり、設定してしまうと結局仕事が前進せず、変化が生まれない悲しい結末に終わってしまいます。
良いイシューを設定するためには、誰のフィルターも通っていない「一次情報」を仕入れることが非常に重要です。

一度良いイシューを設定できたら、それを常に頭の片隅に置いておくことが重要です。
イシューは私たちの仕事の方向性を示す「軸」であり「地図」のようなものです。
日々意識し続けることが大切です。

この「イシュー」思考を意識的に実践することで、たとえ最初は見当違いなイシューを設定したり、作業に没頭してイシューを忘れてしまったりしても、少しずつ上達していくことが可能です。
ドラッカーも「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えをだすことではなく、間違った問いに答えることだ」という言葉を残しており、仕事の生産性を高める上で「何を問題とするか」というイシュー設定の力が何よりも重要であると本書は説いています。

読者からは「仕事の見方が根本的に変わった」「無駄な作業が激減した」「上司との議論が建設的になった」といった感想が多く寄せられているようです。
特に、「犬の道」という表現が印象的で、多くの読者が自分の働き方を見直すきっかけとなったという声が目立ちます。

このように、一人ひとりがイシュードリブンな思考を身につけることで、行動も変わり、社会としてより良いものになっていくのではないでしょうか。

いま本当に答えを出すべきでかつ答えを出す手段がある問題に集中して問題解決に取り組む

【内容情報】
★50万部突破!★
発売12年、時代が変わっても
読者が増え続ける不朽の一冊

イシューからはじめると
やるべきことは
100分の1になる!

「AI×データ時代の必携書」
脳科学×戦略コンサル×ヤフーのトリプルキャリアによる究極の問題設定&解決法。
コンサルタント、研究者、マーケター、プランナー…
生み出す変化で稼ぐ、プロフェッショナルのための思考術。

イシューとは?
あなたが問題だと思っていることのほとんどが、「いま、この局面でケリをつけるべき問題=イシュー」ではない。
イシューとは、「2つ以上の集団の間で決着のついていない問題」であり「根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題」の両方の条件を満たすもの。
本当に価値のある仕事をしたいなら、本当に世の中に変化を興したいなら、この「イシュー」を見極めることが最初のステップになる。

【著者情報】
安宅和人(あたか・かずと)

1968年富山県生まれ。東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学。平均7 年弱かかるところ3年9カ月で学位取得(Ph.D.)。2001年末、マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域における中心メンバーの1人として、飲料・小売り・ハイテクなど幅広い分野におけるブランド立て直し、商品・事業開発に関わる。また、東京事務所における新人教育のメンバーとして「問題解決」「分析」「チャートライティング」などのトレーニングを担当。

2008年よりヤフー株式会社に移り、2012年よりチーフストラテジーオフィサー、2022年よりZホールディングス株式会社シニアストラテジスト。幅広い事業戦略課題・大型提携案件の推進に加え、市場インサイト部門、ビッグデータ戦略などを担当。データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。総合科学技術イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会 委員ほか公職多数。2018年より慶應義塾大学環境情報学部教授。著書に『シン・ニホン』(NewsPicksパブリッシング、2020年)。

イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 内容紹介より

参考


イシューからはじめよ[改訂版]――知的生産の「シンプルな本質」税込2,200(2025/06/15時点)

スポンサーリンク
スマホアプリあります
LP

iOS/Android スマートフォンアプリあります。
アプリ紹介ページはこちら

Xでフォローしよう

おすすめの記事