がんを克服するために大切なことをがんサバイバー系書籍から考察
がんは、現代において2人に1人が罹患すると言われるほど身近な病気です。
がんの治療法は日々進化していますが、手術や薬物療法といった「標準治療」だけで全てが解決するわけではありません。
本記事では、外科医でありながら自らもがんを経験した2人の医師が提唱する、がん克服と再発予防のための統合的なアプローチを紹介します。
「進行がんが消えていく食事」の著者である済陽高穂医師と、「がんが消えていく生き方」の著者である船戸崇史医師の教えから、食事と生活習慣の重要性を掘り下げ、それぞれの具体的な実践法と、両者に共通する重要なメッセージをまとめます。
「進行がんが消えていく食事」と「がんが消えていく生き方」に学ぶ、がんと向き合うための食事と生活習慣の極意
- がん発症と従来の治療における課題
- 「がんが消えていく生き方」に学ぶ自然治癒力と生活習慣
- 「進行がんが消えていく食事」による具体的な食事療法の実践とヒント
- 両書籍に共通するがん克服の鍵:生活習慣と心の力
- まとめ
がん発症と従来の治療における課題
「進行がんが消えていく食事」の著者である済陽高穂医師は、約4,000例のがん切除手術を執刀する外科医としての経験から、術後の5年生存率が52%という厳しい現実に直面しました。
メスだけではがんの根本原因を治療できないと感じ、この状況を打破するためには食事を含めた生活習慣の改善が不可欠だと考えるに至ったといいます。
「がんが消えていく生き方」の著者である船戸崇史医師もまた、外科医時代にがんをきれいに切除しても再発する患者がいる一方で、がんの取り残しがあるにもかかわらず良好な経過をたどる患者がいることに気づきました。
この経験から、手術だけではがん治療の根本的な問題は解決しないと提唱しています。
両医師は、がんがこれまでの間違った生活習慣の積み重ねの結果であると指摘します。
不適切な生活が続くと、体本来が持つ「自然治癒力」が低下し、本来免疫細胞によって排除されるはずのがん細胞が増殖を続けてしまうのです。
治療によって一時的にがんが取り除かれても、生活習慣を改めなければ再発する可能性が高いとされています。
また、がん治療中は多くの患者で食欲が低下し、体力の維持が困難になることがあります。
痛みや消化器症状、味覚変化など、治療による副作用も患者の生活の質(QOL)を大きく低下させます。
精神的な苦痛も大きく、不安やストレスは免疫機能の働きを抑え、がんの進行や治療効果に悪影響を与える可能性があるという報告もあります。
「がんが消えていく生き方」に学ぶ自然治癒力と生活習慣
「がんが消えていく生き方」の著者である船戸崇史医師は、自身の腎臓がんの経験(片方の腎臓を摘出)を元に、がんを克服し再発を予防するために、体の自然治癒力を最大限に発揮させる「がんを克つ5カ条」を提唱しています。
船戸医師は、がんの発症を「残り時間が少ないよ」という警告、あるいは「生き方を見直すチャンス」と捉える視点の重要性も伝えています。
そこで具体的にどのようなアクションをするとよいでしょうか。
睡眠
良質な睡眠(良眠生活)
がん治療において最も大事なことの一つは、体が治る時間を確保すること、すなわち良質な睡眠をたくさんとることです。
睡眠中は、傷つき疲弊した細胞や組織を修復するための様々な修復ホルモンが体内で放出されます。
特に、がん細胞に対抗するリンパ球系の免疫は、副交感神経が優位になる夜間の睡眠中に活性化されるため、十分な睡眠が免疫力維持に不可欠です。
船戸医師は、夜10時には床につき、朝6時に起床するという、8時間睡眠を習慣化することを推奨しています。これさえ守っていればがんの再発はないと言い切っています。
食事
食事(良食生活)
がんが好む食材を避け、嫌う食材を積極的に摂取し、がんになりにくい体質に変えることが重要です。
がん細胞は糖分を主なエネルギー源とすると言われています。
また、抗生剤やホルモン剤を与えられて育った家畜の肉は、それらの薬物成分が体内に蓄積し、がんを引き起こす危険性があると指摘されています。
一方で、自然の食品にはがんの増殖メカニズムの複数の場所をブロックする作用があることが分かっています。
したがって、甘いお菓子、白い小麦粉、芋類などの糖分の摂取を減らし、抗生剤やホルモン剤が使用された家畜の肉も避けるべきです。
もし肉を食べる場合は、放し飼いで育てられた動物の肉や魚を選ぶと良いでしょう。
代わりに、黄緑色野菜、根菜類、海藻類、きのこ類、豆類、発酵食品(味噌、納豆、ヨーグルトなど)、にんにくを積極的に摂り入れ、油はアマニ油、エゴマ油、オリーブ油などを使用することが推奨されています。
運動
運動(運動生活)
適度な運動は体温を上げ、体内に酸素を効率的に取り込むことでがん細胞が嫌う環境を作ります。
そして運動は体の代謝を促進し、全体的な健康状態を改善します。
朝、1時間のウォーキングを行うことに加え、100メートルダッシュを1~2本取り入れるといった無酸素運動を組み合わせることが推奨されています。
加温
加温(加温生活)
がん細胞は低体温を好むため、体温を上げることが必要とされています。
体温が1%上がると、免疫細胞であるリンパ球の活性が40%増強するという研究報告があります。
また、熱によって体内にHSP(ヒートショックプロテイン)が生成され、ストレス防御作用や免疫増強作用があるため、がん治療にも役立つ可能性があるとされています。
したがって、HSP入浴法など、体を温める入浴法を積極的に活用し、冷たい飲食物は避けるよう心がけましょう。
笑い
笑い(微笑生活)
笑いは、免疫力を高める重要な手段であるとされています。
笑うことで、免疫細胞であるナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性が高まることがすでに科学的に分かっています。
日中は仕事や趣味に生き生きと取り組み、夕食時には家族との団欒や趣味などでリラックスし、たくさん笑うことを意識しましょう。
たとえ作り笑顔でも、免疫力を向上させる効果があると言われています。
これらをアクションとした上で、「心の持ち方 」についても重要だと述べられています。
船戸医師は、がん患者が「治るか死ぬか」という二元的な選択に囚われがちであることに触れ、「人はいつか必ず死ぬ」という現実を受け入れた上で、「生きるか死ぬか」ではなく「どう生きるか」に焦点を当てることを提案しています。
がんにかかったことを、自分自身の生き方を見直すチャンスと捉え、本当にやりたかったことに没頭し、充実した人生を送ることが、がんが自然に消えていく生き方につながると述べています。
また、「頑張りすぎ」「我慢」「頑固」は「悪の3G」として避け、ストレスを抱え込まず、適度に気を抜き、自分を優先することを勧めています。
心理的ストレスは免疫機能を抑制する可能性があるため、心のケアはがん治療の一部であると認識されています。
「進行がんが消えていく食事」による具体的な食事療法の実践とヒント
「進行がんが消えていく食事」の著者である済陽高穂医師が考案した「済陽式食事療法」は、標準治療と併用することを前提とし、栄養状態を改善し、代謝を促進し、免疫を高めることで、がん体質を改善することを目的としています。
実際に、平均調査期間3年6ヶ月、211例の進行がん患者(約半数が手術不能な進行がん、約4割が再発・転移がん)において、64.5%の有効率、30例の完全治癒、106例の改善が報告されています。
したがってここでは特に治療で苦しんでいる中で、どんなアクションをするとよいかを具体的に挙げていきます。
食欲不振・体力低下時
食欲不振・体力低下時の食事の工夫
がん治療中には、多くの患者で食欲低下や吐き気、だるさなどの症状が見られ、十分な食事が摂れないことがあります。
しかし、体力維持や感染症予防のためには、エネルギーやタンパク質、ビタミン、ミネラルが不足しないように栄養を摂ることが大切です。
無理に食べようとすると、かえって食事がつらくなってしまうこともあるため、「食べられるときに、食べられるものを、食べられるだけ」を意識することが重要です。食事の回数を増やし、間食を取り入れる工夫もよいでしょう。
脱水予防のため、ストローや吸い飲み、ゼリー飲料を活用し、こまめな水分補給を心がけましょう。
1人分の食事が作りにくい場合は、まとめて作り小分けにして冷凍保存する、シリコン調理器や電子レンジ対応調理器具を活用するといった工夫があります。レトルト食品や缶詰類など長期保存可能な食材を常備するのも便利です。
食べられない時には、栄養補助食品の利用も有効です。ただし、使用する際は必ず医師、管理栄養士に相談しましょう。
味覚・嗅覚の変化時
味覚・嗅覚の変化時の食事の工夫
抗がん剤の副作用や放射線治療によって、舌の味蕾細胞が障害されたり、嗅覚が変化したりすることで、食べ物の味が感じにくくなったり、苦く感じたり、金属のような味になったりすることがあります。
味を感じない場合は、シンプルに味付けを濃くしてみるということです。
塩味や醤油味を苦く感じたり、金属のような味がする場合は、塩や醤油を控え、だしや味噌を利用してみる。
レモンなどの柑橘類やスパイスを利用して味に変化をつける。
食べ物が全体的に苦く感じる場合は、甘味を強くしたり、キャラメルなどで口直しをしてみる。
甘味を強く感じる場合は、砂糖やみりんを控え、塩味や醤油味、酸味、スパイスを利用する。
様々な工夫を凝らしてみましょう。また、味覚の新陳代謝に必要な亜鉛を積極的に摂ることも有効です。
食物繊維
食物繊維の摂取
がん患者における食物繊維の摂取は、便秘の改善や腸内環境の改善に役立つため、積極的に摂取することが推奨されます。
しかし、水溶性食物繊維(海藻、果物など)と不溶性食物繊維(野菜、豆類など)をバランスよく摂取することが大切です。
水溶性食物繊維の摂りすぎは下痢を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。
長いままの食物繊維よりも、細かくした方が消化器への負担が少ないとされています。
しかし、食物繊維の量は変わらないため、食べすぎには注意し、量を控えることを心がけましょう。
食品衛生
生ものの摂取と食品衛生
がん治療の副作用で白血球が減少すると、抵抗力・免疫力が落ち感染しやすくなるため、医師から生ものを避けるよう指示される場合があります。
それ以外は原則として生ものの摂取に制限はありませんが、体力低下や下痢などの消化器症状がある場合は加熱調理をすると良いでしょう。
食材を選ぶ際は新鮮なものを選び、調理や食事の前には必ず手洗いを行い、食品や料理を室温に長時間放置せず、適切な温度管理に努めることが重要です。
サプリメント・添加物
サプリメント・添加物の考え方
サプリメントは、治療による副作用等で食事が十分に摂れない場合や、経口摂取からの栄養が不足している場合に補助的に服用するのは良いとされています。
しかし、サプリメントには様々な種類があり、使い方によっては効果的な場合もあれば、治療の妨げになる可能性もあるため、必ず医師や薬剤師、管理栄養士に相談してください。
特に、抗酸化作用のあるサプリメントは、抗がん剤の効果を弱めてしまう可能性も指摘されています。
添加物は、日常の生活から完全に除くことは難しいです。
積極的に摂取したいものではないですが、保存性の向上など良い面もあるため、自身の生活スタイルに合わせた対応で良いとされています。
両書籍に共通するがん克服の鍵:生活習慣と心の力
両医師の提唱する内容は、異なる専門性を持つからこそ、がん克服における包括的なアプローチの重要性を示しています。
生活習慣の根本的重要性
両書籍ともに、がんは「生活習慣病」であり、日々の生き方が結果として現れると強調しています。
根本的な解決には、間違った生活習慣を認識し、見直すことが不可欠であると共通して訴えかけています。
国立がん研究センターも、食塩の過剰摂取、熱い飲食物、牛・豚などの赤肉や加工肉の過剰摂取、たばこ、飲酒、ほとんど身体を動かさない生活、そして太り気味や痩せ気味といった体形ががんのリスクを高めると指摘し、バランスの取れた食生活や活動的な生活習慣を推奨しています。
免疫力と治癒力の活性化
健康的な食事、十分な睡眠、適度な運動、体温維持、そして心の健康は、いずれも体の自然治癒力と免疫システムを強力にサポートし、がんとの闘いを有利に進める共通の基盤となります。
ストレスが免疫機能(T細胞、NK細胞など)を抑制する可能性も指摘されており、心のケアの重要性も両者の提唱に共通する点です。
心の健康の重要性
心理的ストレスが高い患者ほど、NK細胞の活性が低下し、治療後の再発率が高くなる傾向があることが研究で示されています。
しかし、マインドフルネスや音楽療法といった心理的介入は、免疫細胞の活性を維持し、生活の質(QOL)を高める効果があることも報告されています。
両医師は、がんという病気を、自身の生き方を見つめ直し、より充実した人生を送るための機会と捉えることの意義を伝えています。
全体的な注意点
食事療法や補完代替医療は、標準治療と併用することが基本です。
自己判断での極端な食事制限やサプリメント摂取は、栄養障害や治療の妨げとなるリスクがあるため、必ず医師や管理栄養士などの専門家に相談しながら進めることが不可欠です。
一番大事なこと 「」
まとめ
がんの治療と再発予防において、現代医療によるアプローチだけでなく、日々の生活習慣全般、そして心の健康が極めて重要であることが両書籍を通じて強く示唆されています。
特に、良質な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、体を温めること、そして「笑い」は、体の自然治癒力と免疫力を高め、がんを克服するための基盤となる重要な要素です。
また、ストレス管理と心の健康も免疫に大きな影響を与えるため、「どう生きるか」という視点で自身の人生を見つめ直し、前向きな姿勢で療養生活を送ることが、がんと向き合う上での希望となります。
読んだ感想で多い意見としては、がんとの闘病に希望と前向きな姿勢をもたらしてくれるという声が多く見られます。
具体的な実践方法が示されており、日常生活に取り入れやすい点も評価されています。
特に、外科医という立場にある著者が食事療法や生活習慣の改善の重要性を説くことに、多くの読者が説得力を感じています。
また、極端な食事制限ではなく、標準治療の補助や共存という位置づけで、受け入れやすいと感じる意見も多いようです。
済陽高穂、船戸崇史両医師とも、長年がんと接してきた中で、患者の免疫力・治癒力を高める食事療法の重要性だけでなく生き方についてのメッセージを伝えることを使命としています。
中でもがんは単なる病気ではなく、自身のこれまでの生活習慣や生き方が作り出した結果であるという深いメッセージを込めています。そして、がんの発症を、自身の生き方を見つめ直し、本当に充実した人生を送るための貴重な「チャンス」と捉えることの意義を伝えています。
がんと告知された瞬間は頭が真っ白になるかもしれませんが、今までの生き方、これからの生き方を真剣に考え始める瞬間でもあります。
多くを考えて、できることをできるだけする、そして新しい価値観が生まれるのかもしれません。
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