目次
はじめに
ひと昔前と比べると、映画館の様々な面で進化しています。
チケットレスが当たり前になったり、より大画面で高画質、音響・サウンドシステムはより高品質なものが登場してきています。
そして2009年の「アバター」の上映を皮切りに3D映画が登場し、その数年後の2013年には4DX、2015年にはMX4Dと、日本に4D映画が上陸しました。
とは言え、4D映画が日本で浸透するのはかなり緩やかで、全国的に徐々に対応する映画館が増えてきて、世間的にも知られるようになってきたようです。ただ現在でも、全国47都道府県すべてに4Dに対応した映画館はなく、4D映画を観ることができる地域は限られています。
さて、MX4Dや4DXとは何なのかというと、どちらも4Dという文字が入っているとおり、3Dの進化版と考えられるかと思います。
3Dは映像が立体的に見える3次元を表しているため、4Dということは、4次元を表している?と考える人は多いでしょう。
4次元という表現をすると、空間を超越した次元とか、時間とかを連想してしまう人が多いと思います。
しかし、ここでいう4Dとは、今までの3D映画には要素が1つ加わったという意味です。
その要素が「体感」です。
従来の2Dの映画は、平面的な画面を「観る」ということ。
加えて3Dの映画は、平面的だった映画を「立体的に観る」ということ。
そして、4Dの映画は、「観る」から「体感する」ということと言えます。
勘違いしないでおきたいのは、4D映画だからといって、3Dの立体的に観ることが含まれているわけではないということです。
通常「MX4D」や「4DX」という4D映画は、平面的な「2D映画」+「体感する」という映画で3Dの立体的に観える要素は含まれていません。
「立体的に観る」+「体感する」を含む4D映画は、「MX4D 3D」や「4DX 3D」と3D映画とわかる表記がされています。
では、4Dの「体感する」にはどんなものがあるのかを次で解説したいと思います。
MX4Dと4DXの基本的な情報比較
MX4Dと4DXの背景
MX4D(エムエックスフォーディー)は、アメリカ合衆国のMediaMation社によって開発された4D映画上映システムです。TOHOシネマズに導入されていることが多いです。
4DX(フォーディーエックス)は、韓国のCJグループ傘下のCJ 4DPLEX社によって開発された4D映画上映システムです。ユナイテッドシネマに導入されていることが多いです。
4D映画の特徴
MX4D、4DXに共通して、上映に付随したスクリーン以外の演出システムがあります。
これまでの映画は、目と耳(視覚と聴覚)で楽しむものだったのに対し、4D映画では、視覚と聴覚に加えて、嗅覚や触覚でリアルな体感をすることができます。
映画の内容に合わせて、座席の動いたり、風が吹き付けたり、匂いや水、光などで映画の演出を深いものにしてくれます。
また、どちらも身長が100cm未満の子どもは鑑賞することができません。
演出(特殊効果)の違い
MX4Dと4DXでは、演出(エフェクト)の少し違いがあります。
それぞれ対応している特殊効果がHPなどで挙げられていますので、以下にまとめます。
MX4Dの主な演出(特殊効果)は下記の通りです。
- エアーブラスト(噴射):顔に飛んでくる瞬間的な突風
- ウインド(風):そよ風や向かい風といった演出
- ウォーターブラスト(水しぶき):シーンに合わせた水や雨
- ストロボ(閃光):爆発や雷鳴シーンで走る強烈な閃光(5色対応)
- シートポッパー(突き上げ):座席下部からの衝撃
- セント(香り):シーンに合わせて劇場内を漂う香り
- ランブラー(地響き):座席の震えによる地響き体験
- ネックティクラー(首元):首筋に何かが触れるような感覚
- レッグティクラー(足元):足元に何かが触れるような感覚
- フォグ(霧):山や湖を彷彿とさせる空間を覆う霧
- バックポーカー(背後):背中をつつく効果
4DXの主な演出(特殊効果)は下記の通りです。
- モーション:前後・上下・左右に動く座席と振動
- フラッシュ:照明による光の演出
- 香り:シーンに合わせた香りの噴射
- 風:強力なファンにより吹き付ける風
- 雨:シーンに合わせて飛び散る水や雨
- バブル:劇場内を漂う泡
- 煙:スクリーン周辺から噴射される幻想的な煙
- エアー:顔、頬、耳へのエアー噴射
- ミスト:山や湖を彷彿とさせる空間を覆う霧
- 嵐:風と水の組み合わせ
- 雪:スクリーン周辺に舞い散るリアルなパウダースノー
- 熱風:爆発や火炎を感じる暖風効果
同一作品でMX4Dと4DXを実際鑑賞しての比較レポート
さて、MX4D、4DXそれぞれ特殊効果があり、同じような効果でも表現に違いがあり、文字だけでは単純に比較することができません。
現時点では、4DXの方が効果の数が多いので、4DXの方に分があるように見えます。
しかし「体感」として比較するには、同じ作品を両方で鑑賞してみるしかないでしょう。
そこで同じ作品でそれぞれ鑑賞してみたので、実際鑑賞した上で「体感」を元に比較したいと思います。
劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁で比較
「劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁」をMX4D、4DXそれぞれで鑑賞してみました。
劇中では、爆発や、格闘シーンや銃撃シーンなど様々なアクションシーンがあるため、効果も十分です。
特に違いを感じた部分をピックアップして、以下に比較をまとめます。
まず全体的に違いを感じたのは、座席のの動きについてです。
座席の動きは、MX4Dよりも4DXの方がより動きが激しく、迫力が感じられました。
座席自体については、4DXの席の方がゆとりがあるのですが、少し固めに感じました。MX4Dの方が4DXよりは柔らかさがありフィット感もあり、座り心地は若干MX4Dの方が私には向いていました。ここは身長や体型で変わるかもしれません。
足元への効果(レッグティクラー)は、断然MX4Dが体験としてよかったです。
MX4Dも4DXも、座席の下にベロみたいなちゃちいものがあると思っていたのですが、実際鑑賞中には違和感ない働いてくれます。
ただし4DXの方はあまりこの効果は感じられず、MX4Dの方は、本当に絶妙な力加減で演出にあった効果を出してくれました。
水しぶきは、MX4Dに比べ、4DXの方が量や回数が多かったです。
これは、顔にかかる水しぶきでしたので、量や回数が多いと不快に感じる人もいるかもしれませんので、意見がわかれるところではあります。
エアー噴射は、噴射の強さは4DXの方がシャープで強い印象です。ただ、この作品においては、銃撃戦で銃弾が頬をかすめる演出があり、4DXに比べて、MX4Dの方が臨場感たっぷりで違和感なく自然に演出できていました。
爆発は、MX4Dでスクリーン前に実際火を吹いて煙が残る演出があり、驚かせる演出がありました。4DXの方は残念ながら同じシーンで同様の演出はありませんでした。
その他、首元への効果や、風、光など効果はまだまだありましたが、大きく差をつけるものはありませんでした。
以下に、効果ごとの体感の評価を表でまとめました。
他方と比較して勝っていた方には◯をつけています。より満足度が高かったものは◎にしています。
効果 | MX4D | 4DX |
---|---|---|
座席の動き | ◎ | |
座席の座り心地 | ◯ | |
足元への効果 | ◎ | |
水しぶき | ◯ | |
顔へのエアー噴射 | ◎ | |
爆発 | ◯ |
まとめ
MX4Dと4DXを比較してみると、個人的にはMX4Dの方が満足度が高いものでした。
全体的に4DXは、座席の動きやエアーや水しぶきなどの勢いがよく、より激しくダイナミックな印象です。
MX4Dの方は、足元の効果のレッグティクラーやエアーなどの加減が絶妙で、より内容に合わせてきめ細かく繊細な印象です。
「劇場版 名探偵コナン ハロウィンの花嫁」で言えば、銃撃戦やヘリコプターでの戦闘シーンにおいて臨場感たっぷりで、MX4Dの良さが際立っていました。現段階ではMX4Dの方を推します。
ただし、4DXの方が雪や熱風などMX4Dにはない演出があり、効果のバリエーションは多いので、映画のコンテンツによっては、4DXの方が満足できるものもあるでしょう。
また、4DXの座席の動きは非常に満足できました。これは劇中はじめから終わりまで通しての演出なので、全体的な満足度の底上げになりますので、激しい演出が好みの方は、4DXの方が向いているかと思います。
MX4Dか4DX、どちらで観るか迷う場合には、映画の内容を考慮しつつ、TwitterなどSNSで事前にチェックして、どんな効果があったか推測するなどして選んでみるのもよいかもしれません。