目次
中年が抱える悩みへの対処法
40代〜60代の中年が抱える危機の特徴おさらい
中年クライシスの基本情報
中年クライシスとは、中高年が陥る心理的危機、うつ病や不安障害を言います。
中年危機や、ミッドライフクライシス(Midlife crisis)、ミドルエイジクライシス(Middle age crisis)という呼ばれ方もしています。
タイミングは様々で、症状も重度なものから軽いものまで個人差がありますが、約8割の人が経験すると言われています。それは、事業で失敗した、離婚したなどのような人生の一大事もなく、人生を順調に歩んでいる人でも同じです。
詳しい内容と特徴を表したマインドマップは以下の記事にあります。
中年クライシスの特徴ポイントおさらい
中年クライシスに陥る要因は、以下のような変化によるもので、男性にも女性にも訪れます。
- 加齢による身体的変化
- 家庭ライフサイクルの変化
- 仕事・職場の変化
具体的な問題はどこかに当てはまるかもしれませんが、全般的に課題となるのが、「自己(アイデンティティ)」という点です。
自分と同年代の人が、大成功・大活躍しているのを見て、心が動揺し、嫉妬や羨望、ねたみなど気持ちを抱き、自信をなくしかねません。その背景は、中年頃に自分の限界が見えてきて、少し前なら巻き返せるという希望があったものがだんだん失われてしまうからです。
独身女性であれば、家族で楽しそうに暮らしている人を見て、焦りや孤独を深く感じる場合もあるでしょう。
ここには、人との比較があり、それによって「自己」が振り回されてしまうという状態があります。更に最近では、SNSやYouTubeなどのメディアが多数あり、知り合いがどのような状況にあるのかが分かりやすくなったり、個人の活躍が見えやすくなってきています。
中年クライシスをこじらせないためのポイント
ここで課題となるのが、自分の限界を拒否する反応です。
自分はこのまま年老いていってよいのだろうか。本当の自分はこんなもんじゃない。と思春期に逆戻りしたように、「自分探し」をしてしまう状態になると、なかなか抜け出せない可能性があります。
もちろん今が本当に限界ではないでしょうし、成長はし続けることができます。脱サラで成功した例もたくさんあるでしょう。
しかし、ビジネス書やセミナーなどを通じて「無限の自分」の理想を捨てきれず、誇大なイメージを持っているのであれば、ふらふらした状態が続きかねません。
「おおいなる自分」を過度に求めている状態だとしたら、一発逆転を求めずに、きちんと目の前の事をこなし、その道を妨げないようにしましょう。
着実に地道な働きをこなし、積み重ねた先に「おおいなる自分」はあったりします。
今までは、本当の自分という密かな思いに集中できていなかっただけかもしれません。
この思いに集中しながら日々過ごせば、「おおいなる自分」は近づいてきそうではないでしょうか。
中年クライシスを乗り越えるための具体的対策
前回は落ち込んだときに、気持をポジティブに向けるための対処法について紹介しました。
- 運動をする
- よく笑う
- 瞑想をする
- 新しいことにチャレンジする
- 感謝する
- 自分を受け入れる
- SNSから離れる
特に「自分を受け入れる」ということは、根本的な解決にも繋がるため、詳しく取り上げました。
今回は根本的な解決のための具体的な対策として紹介したいと思います。
心身負担への対策
睡眠を見直す
中年といっても、若かった頃の体力のイメージが根強く残っています。そして、まだまだ働き盛りの中年期には、睡眠の時間をもったいないと考え、他のことに比べて、睡眠の優先度が下がってしまい削りがちです。しかし、やはり若い頃とは異なります。睡眠不足による能率悪化のダメージは受けています。
ここは眠らないほうが損であると考え方を変えるべきでしょう。
そして質の良い睡眠を得るために、運動や瞑想なども取り入れ、生活スタイルの改善をはかると良いでしょう。
持ち物を整理する
持ち物は心の象徴と言います。過去に使ったエネルギーが形として残ったものです。しかしながら、部屋も頭の中も許容量があります。
既に役目を終えたものもあるかもしれません。または、実はもういらないものでも、モノとして残っていると頭の中でわだかまりとして残っている可能性があります。
家にあるモノが本当に今の自分に必要なものなのか見極めて、いらないものを処分しましょう。精神的な負担を軽減するのに役立ちます。
中年期になると、生涯持っていたいものなのか、一時の欲求で欲しかったものなのかと判別が利くようになります。生涯持っていたいものにフォーカスして、新しいものを入れるスペースをつくるために、いらないものを捨てましょう。
情報を整理する
持ち物と全く同じ理由で、普段得ている情報も本当に必要な情報かどうかを見極めて、必要な情報を得ることに集中しましょう。特に情報は、モノと違って簡単に手に入れることができ、無尽蔵に増やせます。情報を得る側としては、ブレーキを踏む隙を与えてくれません。
普段なら前向きに思える「おおいなる自分」を掻き立てるような情報も、落ち込んでいる状態では良い方向に働きません。
情報疲れしないように、SNSや情報収集するもの、方法やタイミングなど見直しましょう。
情報疲れに対する対策については以下の記事で紹介しています。
本質的な思考への対策
今できることに集中する
前述のこじらせないためのポイントに挙げたとおり、「おおいなる自分」を過度に求めずに、一発逆転を求めずに、きちんと目の前の事をこなしましょう。
その中でも、「できること」を意識しましょう。
周りから期待されたり、できると思われていることのいわゆる「やるべきこと」に合わせて、混乱する可能性があるからです。やるべきタスクの中でも、いかに自分らしく「できること」を表現するかの方に注目しましょう。
新しいことにチャレンジする
こちらは一発逆転を狙って、思い切って新しいことをしましょうということではありません。
短期的に気持ちをやわらげるためにも役立ちますが、新しい趣味を持ったり、体を鍛えたり、新しい人間関係を作ることは長期的に見ても有効です。
今持っている専門分野に続き、第二の専門分野になり得るのであれば、「おおいなる自分」への一歩にもなります。
そして今まで見向きもしなかった分野に目を移したなら、その分野の目線も取り入れたいという前向きな気持ちの表れかもしれません。
自分を受け入れる
自分を受け入れることが大切です。
こちらも、前述のこじらせないためのポイントに挙げたとおり、「おおいなる自分」を過度に求めないことが前提です。
自分を受け入れるための具体的な対処法は、前回の記事のとおりです。
と、なんとなく理解したつもりだけど、腹落ちしていない。もやっとする。何に悩んでいるのか分からなくなってきた。混乱してきた。という人がいるかもしれません。
具体的なフローを噛み砕いて説明しましょう。
紙でも、デジタル上のテキストでも何でも良いので、今ある悩みをすべて書き出してみましょう。
その際、身体的変化によるもの、家庭ライフサイクル変化によるもの、仕事・職場の変化によるものなど、ある程度カテゴリを分けると良いでしょう。
書き出した項目に対し、ランク付けをしましょう。
気になる度合いはどの程度なのか。どうしようもないことなのか、少し気になる程度なのか、今すぐどうにかしたいのか。
ランク付けまでした項目に対し、コントロールの可否を分別します。
自分自身でコントロールできることなのか。他人に依存するのか、外部要因があるのか。
自分自身でコントロールできるのは、考え方なのか、実際に行動が伴うのかなど。
2番目にランク付けしたことで、項目ごとの重要度は把握できているでしょうが、横の関係も見ると良いでしょう。その上で、インパクトの大きい項目に注目しましょう。
ポイントは、それが解決すれば、他が気にならなくなるかどうかです。
そこまで絞れると、ある程度整理できた状態であり、漠然とたくさんあった不安も、何を改善すれば良いかが見えてきて、焦点も絞れることでしょう。
まとめ
悩んでいるということは、課題を感じ、自分の能力を信じている証拠でもあります。少年の頃から大志を抱いてきたのかもしれません。しかし、どの世代でも将来の自分には誇大評価してしまう傾向があるようです。過度に自分に期待したり、一発逆転を求めることは、ますます自分を追い込んでしまう可能性があります。
今までの経験は財産です。この財産は大切にしつつ、自分を受け入れて、マインドを落ち着かせることを心がけましょう。
記事の最後で、自分を受け入れるための具体的な方法を紹介しましたが、取り組むべき順番としては、一番最初が望ましいかと思います。自分を理解した上で、心身に抱えているものはしっかり改善させ、今できることに集中しることができれば、危機から抜け出すことができるでしょう。