【究極の要約】「これからの「正義」の話をしよう」から分かる一番大事なこと
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これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学

書籍「これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学」で学べる一番大事なことは、一言でいうと以下の1文です。

正解のない問題に対しても自分なりの結論を出す。

ポイント

本書は、日本でもNHKで放送されていた「ハーバード白熱教室」でも取り上げられており、議論の仕方についても学べる良い影響を与えてくれました。難しく考えれば考えるほどハマってしまうような問題を提供してくれています。
特に有名なのがトロッコ問題です。

トロッコ問題

制御不能になったトロッコの前方の線路の上には5人の人が存在します。そのまま猛スピードで進めば、5人は確実に死んでしまいます。分岐点にいたA氏が、分岐器で進路を切り替えれば、5人は轢かれずに助かるが、反対の線路にいる1人は死んでしまうという状況です。

単純に言えば、「5人を助けるために他の1人を殺しても良いか」という問題です。
この場合にどうするべきだろうというのが議論のテーマになります。
より多数の幸福の方を指示する考えが功利主義です。この功利主義に基づけば1人を犠牲にして5人を助けることになります。逆に義務論に基づくのであれば、誰かを他の目的のために利用すべきではなく、何もするべきではないということになります。

では、派生問題ではどうでしょうか。

A氏が線路の上にある橋に立っており、体重の重いD氏がいます。D氏を線路上につき落として障害物にすればトロッコは確実に止まり5人は助かります。だが引き換えにD氏は轢かれて死んでしまいます。
つまり、「5人を助けるために他の1人を殺しても良いか」という条件は先ほどと同じです。

しかし、多くの人は、1番目の質問では1人を犠牲にすることは許されると答えるのに対して、2番目の質問では1人を犠牲にすることは許されないと答えます。

この2つの質問で異なる点は、1番目の質問ではA氏の行動自体は「分岐の切り替え」に過ぎず、1人の死は(たとえ結果を承知の上でも)その意図の直接の結果ではなく副次的な出来事(巻き添え)と考えることが可能であるのに対し、2番目の質問でははっきりと「狙ってD氏をトロッコに激突させる」という行動をとっており、行為者の直接の意図と行動によって死ぬということです。

他にも派生問題はありますが、どの質問にも一貫して合理的な判断を下すのなら、同じ回答が導きだせることでしょう。もし判断が一貫しないのであればそれは何故か、ある場合は誰かを犠牲にすることが許されて、他の場合には許されないと感じるのかを合理的に説明できるでしょうか。少なくともこれらのようなジレンマを一貫して合理的に解決できる倫理学の指針はないということです。

まとめ

本書ではトロッコ問題以外にもいくつもの問いを提供してくれます。

  • 金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか
  • 前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか
  • 遭難して食料が尽きた状態で、3人が生き延びるために体調を崩した1人を殺し食べるのは正しいか
  • 自然災害時の便乗値上げを法律で禁止すべきか
  • 大学入試でのマイノリティ優遇措置は公正なのか

これらの問いには答えはありません。
答えのない問題はそこら中にあります。
経営者が打ち立てる戦略ひとつとっても正解はありません。
悩んでいる人に対して、そっとしてあげるべきなのか、深く話を聞こうと声をかけるべきなのか、身近なところにすぐあるかもしれません。
しかし正解がないと言っても、その問題を考えることは大小問わず可能です。
誰かの意見に従う方が楽なこともあるでしょうが、答えのない問題に対して自分なりの答えを持つことこそが正義への一歩だと言います。


日本中が熱狂したベストセラーが紙版の文庫化に合わせて大幅値下げ。さらに世界初公開、マイケル・サンデル氏の次作『それをお金で買いますか』より「序章」を先行収録いたしました。1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。

これからの「正義」の話をしよう 内容紹介より

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