
人生を変える80対20の法則

書籍「人生を変える80対20の法則」で学べる一番大事なことは、一言でいうと以下の1文です。
人生を変える80対20の法則が分かる10つの章
- 80対20の法則へようこそ
- 80対20の法則の考え方
- 隠れたカルト
- あなたの戦略はなぜ間違っているか
- シンプル・イズ・ビューティフル
- 良い顧客をつかまえる
- 80対20の法則が使えるビジネス、トップ10
- 成功に導く、決定的に重要な少数
- 自由であること
- 時間革命
- 望むものは必ず手に入る
- 友人のちょっとした手助け
- 賢い怠け者
- マネー、マネー、マネー
- 幸福になるための七つの習慣
- 隠れた友だち
- 80対20のネットワークで成功する
- 80対20が90対10になるとき
- 80対20の法則の未来とあなたの居場所
- 80対20の法則の二面性
ポイント
著者のリチャード・コッチは経営コンサルタントとして数多くの欧米の優良企業のアドバイザーし、数々の事業で成功をおさめた人です。本書はコミック版など派生した本が出るくらいの世界的ベストセラーです。
タイトルにあるとおり「80対20の法則」について、具体例を交えながら分かりやすく書かれています。
80対20の法則の考え方
80対20の法則とは
世の中のあらゆることに成り立っている法則だと言えます。
ビジネスでよく「80対20の法則」として言われる例としては、以下のようなものがあります。
- 売上の80%を占めているのは、20%の商品である
- 売上の80%を占めているのは、20%の顧客である
- 売上の80%を占めているのは、20%の社員である
- 労働の80%は、費やした時間の20%から生まれる
ビジネス以外でも例があります。
- 資産の80%を人口の20%の資産家が占めている
- 犯罪の80%を20%の犯罪常習犯が占めている
- カーペットの擦り切れる場所の80%は20%の部分に集中する
- 地球の大気中の窒素が約80%で酸素が約20%であること
- おいしいそばの割合はそば粉が80%小麦が20%であること
このような、「投入と産出」「原因と結果」「努力と報酬」などの関係には、必ず不均衡が生じ、その不均衡の割合が「おおよそ80対20」になるということです。
つまり、費やしたもののわずかな部分が、結果の大きな部分をもたらすという法則であり、パレートの法則と呼ばれています。
※パレートの法則は、発見者のイタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートの名前に由来し、80:20の法則の他に、ばらつきの法則とも呼ばれる。
ビジネスへの応用
ビジネスで大切な売上。この売上の80%を占めているのは、前述にもあったとおり、20%の顧客や商品であり、ビジネスの中でも大きく80対20の法則が成り立っています。
そこで考えるのは、この80対20の法則に当てはまらない部分は切り捨ててしまえばよいのではないかという疑問です。
80%の力を費やしているにも関わらず、20%の見返りしかない部分は、非常に非効率だと言えます。
しかし、この部分を切り捨ててしまうと、残った中でまた80対20の法則が働いてしまうということです。
ここは、80対20の法則から派生した「2-6-2の法則」でも語られる部分です。
良く出される具体例が働きアリです。
働きアリのうち、意欲的に働くアリは20%、普通に働くアリは60%、怠けるアリは20%と分かれるそうです。
しかし、この意欲的に働くアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれるということです。
ちなみに、サボっているアリだけを集めると、一部が働きだしやはり2:6:2に分かれるそうです。
したがって、残りの80%を切り捨てない方が、法則的にはバランスが取れることになります。
ここで大事なのは、80%を切り捨てないとしても上位20%の投資を集中させるということです。
この80%の売上を生む20%の要素に尽力して効率よく顧客選びや市場選びをするということです。
新規事業などで、顧客ターゲットを選定する方法にペルソナという考え方を使うことがあります。
このペルソナは、具体的な人間像を設定して、コアなファンをイメージすることに役立ちます。
まんべんなく多くの人から少しずつということではなく、80%の利益をもたらしてくれる20%の人のハートをキャッチするイメージが大切です。
また、市場選びも同様です。
競合が多い市場である「レッドオーシャン」が良いのか、競合が少ない市場である「ブルーオーシャン」が良いのかと議論になることもあるでしょうが、どちらにしても、重要なのは20%のファンを獲得できるかどうかということです。
既存事業であれば、核となる20%の顧客を手放さないために、共通点を調査分析し、この20%のニーズを満たすことを目標にすると良いでしょう。
時間革命
ビジネスにおいても日常においても、時間の管理は重要です。
無意識の中でも優先順位をつけながら人は行動しています。
そして、その中にも80対20の法則は含まれます。
80対20の法則が分かると、できるだけ成果の少ない80%に対する活動は切り捨て、本当に重要な20%にエネルギーを費やすべきだと分かります。
この優先すべき20%に対して、有限である時間を費やすべきです。
本書ではどんなことが無駄な時間となって、どんなことが時間の有効利用になるのかを以下のワースト10、ベスト10の形で教えてくれています。
時間の利用法ワースト10
- 他人から頼まれたことをやる
- いつもやっていることをやる
- あまり得意でないことをやる
- 楽しくないことをやる
- 絶えず邪魔が入ることをやる
- 他人がほとんど関心を持っていないことをやる
- 当初考えていたよりすでに時間が2倍かかっていることを続ける
- 信頼できない人、能力がない人と手を組む
- 山あり谷ありのサイクルが予測できることをやる
- 電話に出る
時間の利用法ベスト10
- 人生の目的に沿ったことをやる
- いつもやりたいと思っていることをやる
- 80%の成果を生み出す20%のことをやる
- 最小限の時間で最大限の成果を上げる方法を考える
- 君にはできっこないと言われていることをやる
- 誰かが大成功をおさめた違う分野のことをやる
- 自分の想像力を生かせることをやる
- 他人に任せられ、自分はほとんど遊んでいればいいことをやる
- 常識外れの時間の使い方をしている有能な人と手を組む
- 今やらなければ生涯できないことをやる
まとめ
世の中には他にも比率のによる法則があります。
その中の黄金比は、自然界の多くに存在する調和の比で、人間にとって安定した心地よい比率と言われています。縦横の比率が、およそ1:1.618で、約5:8の比率で成り立っています。パルテノン神殿や凱旋門、ミロのヴィーナス、モナ・リザ、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」など、古代から建物や彫刻、絵画などに頻繁に使われてきました。身近なものでは名刺がそのサイズだったりします。
また、「78:22の法則」というユダヤの法則とも言われる比率の法則もあります。
もともと、パレートの法則もぴったり80対20というわけではなく、不均衡が生じ50対50とはならないという意味がメインの法則ですので、重なる部分は多分にあるようです。
例えば以下のようなものがあります。
- 人間の体を構成している成分の割合は、水分が78%でそれ以外の物質が22%
- 地球の海と陸地の割合は、海が78%で陸が22%
ビジネスでもプライベートでも、これらの法則と共に80対20の法則は身近に潜んでいます。その中でその法則の存在に気付き、影響力のある20%、得意な20%に集中することが重要だと言います。
しかし、筆者は80対20の法則とは少し外れた人生でいちばん大切なことにも触れています。
それは、成功に酔いしれると人生でいちばん大切なものを見失う。人脈は広がっていくが、友人や家族と過ごす時間は減っていく。成功の階段を息せき切って駆け上がっているとき、ふと我に返って足を止めてみたほうがいいと言います。
80対20の法則は、知ることで大事なことへ注力する気付きを与えてくれます。成功のためのテクニックとしても使うこともできるでしょう。しかし、盲目的に成功を目指したり、資産を増やすことをが本当に幸福かというのは問うべきだということです。
【内容情報】
初版刊行以来、この20年間に有能な数百万人に読まれてきた世界的ベストセラーが待望のリニューアル。法則実践への新しいアプローチを示す最新情報を大幅増補!ムダな努力をせず、最小限の努力で最大限の成果を上げる人になろう。「利益の80%は顧客の20%がもたらす」「仕事の成果の80%は費やした時間の20%から生まれる」……インプットとアウトプットの関係には必ず不均衡が伴うことを発見した「パレートの法則」をビジネスや人生に応用し、成功を導くための手引き。【著者情報】
人生を変える80対20の法則 内容紹介より
リチャード・コッチ
起業家、投資家、経営コンサルタント、作家。コンサルタント業、レストラン業、ホテル業を興し、成功をおさめる。ベイン・アンド・カンパニー等数多くの欧米の優良企業のアドバイザーを務めた。
