
コント「前向きな言葉」から大切なことを考察
「前向きな言葉」
東京03の「前向きな言葉」というタイトルのコントが、単独公演の「ヤな塩梅」や「爆笑問題の検索ちゃんネタ祭り」で披露されました。
コントのネタ概要は以下のとおりです。
コントのネタ概要
角田・飯塚・豊本の友達3人で旅行に行った先で、手違いにより旅館の予約が取れておらず、ロビーで待たされているところから始まる。
雰囲気が悪い中、角田がポジティブな言葉で返す。
「3人で思い出の旅館に来れたんだもん。幸せじゃない」
「大丈夫、絶対他の部屋空いてるよ」
「なんならグレードアップした部屋用意してくれるかも」
と昔の角田とは一転して不自然なくらい前向きな言葉を発し続ける。
そして角田本人の口から
「俺、変わったんだよ」
「嫌なことが起きたとき、自分の気持ちが落ち込まないように、あえて前向きな言葉を言うように意識してる」
それを聞いた飯塚と豊本は、「偉いな。なかなかできないよその考え方。すごい」と言い、立派と思いつつも、異常なまでの前向きな言葉にだんだん違和感を感じてくる。
そして、
「こういうトラブルも旅の醍醐味じゃん。またいい思い出できちゃったな」
「いやー今日はいい日だー」
と角田が強引な前向き表現を続ける中、旅館の予約が更に雲行き怪しくなる。
飯塚と豊本も、角田の過剰な前向き表現は、つまり逆に「嫌なことが起こっていて機嫌が悪い」ということがわかり不快感を示し、角田自身もイライラが隠せなくなることでコントは面白く展開していく。
ポイント
コントは、角田の前向き発言が、嫌なことの裏返しだと分かったことと、旅館の空室がない事実が分かり、今度は予約サイトの確認の折り返しの電話待ちになり事態が悪化したことで、角田のおもしろ覚醒モードに転換されます。
ここでのポイント(お笑いとしてではなく自己啓発的な目線で)は、事態の悪化に、角田の前向きさが崩壊することです。
コントで、角田本人も暴露しています。
「(前向きには)思ってはない」
「わざと逆なことを言っている」
わざと逆のこと言って前向きな言葉にしているそれって、新手の愚痴じゃんと突っ込まているのが面白いところですが、思ってはいないというところが肝心なところです。
機械的な言葉は魂の抜けたただの文字
ポジティブシンキングは、様々な著書や教えの中で重要であることは分かっています。
常にポジティブに考えると言わずとも、単発的にネガティブな言葉をポジティブな言葉に変換したり、ポジティブな要素を見つけるということは効果があると言います。
しかし、言葉を機械的に反対にしただけの言葉はうわっつらの言葉です。魂の抜けたただの文字であって言葉ではありません。
「(前向きには)思ってはない」
「わざと逆なことを言っている」
という状態は、正にうわっつらでしょう。
ポジティブな言葉に納得していること
「嫌いな人でも、良いところを探してみましょう」という教えがあれば、良いところを探してその良いところは良いと感じているはず。
「今日は雨で気分が落ち込むということをポジティブに捉えましょう」というお題があれば、買ったばかりの骨の多い傘を試すチャンスと、ポジティブな言葉に納得して発しているはずです。
ただポジティブな言葉を声に出すだけでも効果があると言う教えはありますが、それには意味があります。
「あーいい日だ」とうわべの言葉を発したとしても、「なぜならば〜」を考えて、その過程の中で、腑に落ちるポジティブな要素を見つけるから意味があるのです。
嫌なことを否定するわけではない
反対の言葉を使うことで、嫌な事実を完全に覆せるわけはありません。
考え方次第で、良い面が見えたり、良い部分が見えたり、良いことへ繋がる糸口が見えたり、良い・悪いの割合はさまざまです。
後に笑い話になりそうだなーというのもポジティブさを表していますが、その時にはやはり嫌な事実なのでしょう。
嫌な事実でも、事実は事実として受け入れることはしなければなりません。
むしろ良い・悪いを一旦置いておいて、起こっていることを科学的な事象として客観的に見て、さぁ感情を言えるとしたらどういう目線があるかと見てみるのも面白いかもしれません。
まとめ
嫌なことがあったときにポジティブに考えるプロセスとしては、
「そうかー」と一度その事実を受け止めて、
「でも」と納得できる前向きな面を見つけて発することです。
「いやむしろ」と強烈に前向きになれたり、事実が好転する発見ができたらラッキーですね。